【本の内容】

受動的傾聴だけではうまくいかない

ライン相談は交互の経時的コミュニケーションで あり、タイムラグが生じる。それは数秒のことも あれば、数分におよぶこともある。

そのために、「感情の反射」などの傾聴技法も、従来とは違う受けとられ方をしがちであることが わかってきた。

ライン相談では、従来の「受動的傾聴」では不十分 であり、ライン相談のデメリットを補うような 「積極的関与」が必要であった。
①共感的で支持的なメッセージをはっきり言葉で伝える
②「感情の反射」よりも対話をリードする「質問」が有用
③情報提供・心理教育を積極的に行う
④相談者のテンポと文章量に波長を合わせる ライン相談に適した相談技術

①共感的で支持的なメッセージをはっきり言葉で伝える

ライン相談では、非言語的応答によって受容的な メッセージを伝えることができないために、共感的で支持的なメッセージをより明瞭に言語的に伝える必要があった。

「それはつらかったね」といった感情の反射も  さることながら、「それは腹が立つよね!」、「あなたが怒るのも同然だと思います」といった 同調的表現、「私も同じ立場だったら、そうしていたと思います」といった自己開示も、対面相談よりも多用することになった。

②「感情の反射」よりも対話をリードする「質問」が有用

ライン相談では、相談員は積極的に質問をして対話リードし、問題状況を把握したり、相談者の感情表現を促す質問をしたりするなど、積極的姿勢を示す必要があった。

「質問力」が問われることになった。

「感情の反射」は、そうしたやり取りの中で並行して用いられる方が効果的だった。

③情報提供・心理教育を積極的に行う

ライン相談では「情報提供」を行って相談者の視野を広げたり、「心理教育」を行って行動レベルでの助言を行うことも有用であった。

「自分では、どうしようかと思ってることはあるかな?」と尋ねながら、「私なら『○○○○』と言うかもしれないけど、そういうのはどう思いますか?」、「思い切って、こっちから謝ってみると、どうなるだろうね?」といった「提案」をして、そのことを相談者がどう思うかを話し合った。

④相談者のテンポと文章量に波長を合わせる

ライン相談における「非言語的情報」として、ラインの「テンポ(応答速度)」と「文章量」があげられる。

こうした非言語的情報に注意を払い、相談者の「テンポ」に波長を合わせる。

ライン相談では「言語内容」に目を奪われがちであるが、相談者のテンポや文章量といった非言語的情報にも注目し、それに波長を合わせながら変化促進的に働き掛けていくことが重要である。